とある文豪と、その愛人がこの世を去った。 憂い多き人生の如く渦を巻く激流へと身を投げ...るよりも早く、 猛スピードで突っ込んできた〝例のトラック〟によって。 文豪が目を覚ますとそこは、異世界の教会。 案内人は、慈愛に満ちた瞳で微笑みかける。 「ようこそ冒険者よ。あなたは選ばれ、転移したのです」 御多分に洩れず、勇者の使命を背負わされてしまう文豪。 だが、彼は転移者の誰もが与えられる〝あるもの〟を持たなかった......。 「...ふふ。恥の多い生涯だ」 この世でも、異世界(あの世)でも <失格者>の烙印を押された文豪(センセー)の冒険が幕を開ける。 きっと、どこかにいるはずの「さっちゃん」を見つけ出し、 今度こそ、あの日の本懐——心中を遂げるために。
ファンタジー世界を 舞台にした 国家運営 シミュレーションゲーム、 『Eternal Nations』。 そこでユーザーランキング一位を獲得した伝説のプレイヤー、 伊良拓斗は、入院中に意識を失う。 気が付くと拓斗は、まるでゲームの中のような世界、 イドラギィア大陸に降り立っていた──。 そこに現れたのは、 『Eternal Nations』で拓斗が最も愛用していたユニット、 《汚泥のアトゥ》。 そこで拓斗は、ある決心をする。 「──僕たちの国を作ろう。僕と、君だけの王国を」 アトゥと共に、 邪悪な国家である《マイノグーラ》を設立することを決めた拓斗。 個性豊かなダークエルフや英雄を国民とし、 この世界ではチートとも言えるゲームシステムを利用しながら、 大好きな内政に励むのだった。