これは拝み屋 京極堂がまだ古書店を開く前の物語──。舞台は戦後間もない昭和23年、東京。新制高校の二年生に進級した日下部栞奈は、国語の新任講師・中禅寺秋彦と出会う。栞奈の周囲では、怪異にまつわる奇々怪々な事件が次々と発生。今日もまた、栞奈は助けを求め、仏頂面の中禅寺先生が待つ図書準備室の扉を開けるのだった──。教師と女生徒の凸凹コンビがおくる学園青春怪異奇譚、ここに開幕!
懐かしさで溢れる街「九龍城砦(くーろんじょうさい)」の不動産屋で働く鯨井令子は、先輩社員である工藤発に心惹かれていた。その恋を自覚した令子はある日、1枚の写真から工藤にはかつて婚約者がいたことを知るのだが、その婚約者は自分と全く同じ姿をしていた。 もう一人の鯨井令子の存在が自分に過去の記憶がないことを気づかせる。 妖しくも美しい九龍の街で繰り広げられる日常。 記憶がないのに懐かしく感じる風景。 そして、止められない恋心。過去・現在の時間軸が交錯する中、恋が、全ての秘密を解き明かす─。
帝の寵妃・玉葉妃の妊娠判明により、 猫猫は翡翠宮の毒見役に復帰。 妃、そして帝の御子を狙った事件が再び起きないよう 警戒をしながら、日々を送っていた。 先帝時代からの重臣を父にもつ新たな淑妃・楼蘭妃の入内、 壬氏の命が狙われた、前代未聞の未解決事件、 そして消えた容疑者・翠苓。 不穏な空気が晴れない中、 外国からの隊商、さらには無理難題な要求をする特使も来訪。 宮中にはさらなる暗雲が立ち込め始めていた。 猫猫と壬氏を待ち受ける新たな難事件。 それらは、やがて国をも巻き込む 一大事件へと発展していく――
脳の縫い糸、通称〈ユア・フォルマ〉。 1992年に起きたウイルス性脳炎のパンデミックから人々を救った医療技術は、 今や日常に不可欠な脳侵襲型情報端末へと進化をとげていた。 見たもの、聞いたこと、そして感情までも——。 全てが記録される世界で、重大犯罪事件の捜査は、 記録の集合体〈機憶〉にダイブできる特別捜査官「電索官」の仕事になっていた。 世界最年少で電索の任についた天才少女、エチカ・ヒエダ。 その才能ゆえに孤立する彼女にあてがわれた新しい相棒は、金髪碧眼のヒト型ロボット〈アミクス〉のハロルドだった。 最強の二人の前に、秘密は全て暴かれる——!